静岡ご当地ラーメンガイド:志太系ラーメン・溶き味噌ラーメンの魅力を徹底解説

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静岡県ご当地ラーメンガイド:志太系ラーメン・溶き味噌ラーメンの魅力を徹底解説

「静岡のラーメン」と聞いて、どんな一杯を思い浮かべますか? 富士山の麓から駿河湾の海沿いまで、静岡県は広大な県土を持つだけに、食文化も地域によってずいぶん顔が変わります。ラーメンもその一つ。実は静岡には、全国ではほとんど知られていない、独自の「ご当地ラーメン」が育まれています。

今回ご紹介するのは、100年以上の歴史を誇る「志太系ラーメン(朝ラー)」と、丼の中で自分だけの味を作り上げる「溶き味噌ラーメン」の2スタイルです。どちらも複数の店舗で受け継がれ、地元の食文化として根付いた本物のご当地グルメ。週末の家族お出かけや、出張で静岡を訪れた際にぜひ立ち寄っていただきたいスポットをまとめました。

駿河湾と富士山が育む、静岡の個性派ご当地ラーメン

📋 静岡県ご当地ラーメン クイック比較

志太系ラーメン 溶き味噌ラーメン
発祥エリア 藤枝市・旧志太郡(焼津・島田含む) 静岡市清水区
発祥年 大正8年(1919年)頃〜 昭和35年(1960年)頃〜
スープの特徴 魚介(鰹・煮干し)ベースの澄んだ醤油スープ 鶏ガラ・豚骨のあっさりスープ+客が味噌を溶く
麺の特徴 細め〜中細の平打ちストレート麺、喉越し重視 極細ストレート麺(伸びにくい)
食べ方の特徴 温と冷の2杯をセットで食べる「朝ラー」文化 中央の味噌を自分でスープに溶かしながら食べる
価格帯 600〜850円前後 800〜1,000円前後
ご当地度 ★★★★★ ★★★★☆

① 志太系ラーメン(藤枝朝ラーメン)

志太系ラーメン マルナカの中華そば
志太系ラーメン マルナカの中華そば(引用元:未来共創パートナーズ

静岡県藤枝市・旧志太郡発祥 / 1919年〜

志太系ラーメンの歴史・由来

「朝からラーメン」。そんな習慣が100年以上前から根付いているのが、静岡県藤枝市を中心とした旧志太郡エリアです。その始まりは、大正8年(1919年)頃に遡ります。

藤枝市とその周辺は、古くから「玉露の三大産地」のひとつとして知られるお茶どころです。新茶の季節ともなれば、農家や仲買人は日の出前から仕事をこなします。仕事を終えた茶業関係者が、まだ薄暗いうちからラーメン店の前に行列を作るようになり、それを見かねた店主が徐々に開店時間を早めていった。これが「藤枝の朝ラー文化」の始まりと言われています。

その元祖とされるのが、1919年創業の老舗「マルナカ」です。当初は夜の屋台から始まった商いが、お茶文化と結びついて朝の食事処へと変わっていきました。マルナカが守り続けた味を受け継いだ店が「志太系ラーメン」と呼ばれ、現在では藤枝市内だけで朝ラーメンを提供する店が20軒近くに上ります。

2008年頃から焼津市・島田市にも急速に広がり、今や旧志太郡全体の食文化として定着。藤枝市は2023年から市の予算で「朝ラーメン文化の継承」に取り組み、紙芝居の制作や保育施設への提供も行っています。地域の食文化として公的に認定・保護されている点が、この文化の深さを物語っています。

藤枝市の藤まつり
藤枝市の藤まつり(引用元:藤枝市観光協会

志太系ラーメンの味の特徴

スープ:魚介の旨みが溶けた澄んだ醤油スープ

志太系ラーメンの最大の特徴は、その透き通ったスープにあります。鰹節や煮干し、昆布といった魚介の出汁をベースに、醤油を合わせた澄み切った清湯(ちんたん)スープです。

一口すすると、まず鰹の香ばしい旨みがやわらかく広がります。醤油のキレはしっかりありながら、後を引くしょっぱさはありません。全体としては「そばに近い」と表現されることが多く、朝食として食べてもまったく胃にもたれないよう計算し尽くされた味わいです。脂分が極めて少なく、前日に晩酌した翌朝でもするっといただける。これこそが志太系ラーメンが100年以上愛されてきた理由のひとつです。

冷たいラーメンのスープは温かいものより甘みが強く、わさびを溶かしながら食べるのがお作法。「温から始めて冷で締める」という独自のスタイルは、暑い季節も含めて一年中楽しめる工夫です。

麺:つるつると喉を滑る平打ちストレート麺

麺は細め〜中細の平打ちストレートが主流です。一般的なラーメンの縮れ麺と異なり、コシよりも「するすると食べられる喉越し」を重視して作られています。スープの油分が少ない分、麺自体が主役として立ちやすく、小麦のやさしい風味がしっかり感じられます。

茹で加減はやや柔らかめが定番。これも「朝の食事」として誰でも食べやすいよう、長年かけて最適化された結果です。冷たい麺は水で引き締めることでコシが増し、温かいものとは異なる食感が楽しめます。

トッピング:シンプルが美学

定番のトッピングは、脂身の少ないモモ肉チャーシュー、メンマ、長ネギというシンプル構成です。チャーシューは薄切りや拍子木切りでどんぶりを覆うように盛られることが多く、見た目にもボリューム感があります。

余計な具材を加えず、スープと麺の調和を最大限に引き出す。その潔さが、志太系ラーメンの魅力を一層際立たせています。

志太系ラーメン おすすめ店舗

志太系ラーメン発祥の地「マルナカ」
志太系ラーメン発祥の地「マルナカ」(引用元:岩下雄一郎のブログ

志太系ラーメン発祥の地「マルナカ」の一杯

🏆 マルナカ(元祖・志太系朝ラーメン)

1919年創業、志太系ラーメンの元祖にして「藤枝朝ラー」の聖地。開店8:30前からすでに行列ができることで有名な、まさに旧志太郡を象徴する店です。スープは鰹と煮干しを軸にした澄んだ醤油味。代々受け継がれてきた味は変えないという信念のもと、初代から現在まで「昔のままの味」を守り続けています。温かいラーメンと甘い冷やしラーメンをセットで食べるのがマルナカ流。一度訪れると、この二杯の対比がやみつきになります。

住所静岡県藤枝市志太3-1-24
営業時間8:30〜13:15頃(スープがなくなり次第終了)
定休日日曜・祝日・第2・第4土曜
価格帯600〜750円前後

中華そば 池田屋

創業から15年以上、藤枝の朝ラー文化を支え続けてきた一軒。2022年に泉町の現住所に移転し、カウンター席とテーブル席を備えた広い店内にリニューアル。志太系の進化形とも言える、鰹出汁とコクが程よくバランスした魚介スープが特徴です。冷やしラーメンのスープは甘さがすっきりとして食べやすく、志太系初心者にも親しみやすい一杯。駐車場も広く、家族連れで訪れやすい環境が整っています。

住所静岡県藤枝市泉町(詳細は公式SNSで確認を)
営業時間朝7〜8時台〜昼頃(スープがなくなり次第終了)
駐車場あり(広め)
価格帯650〜850円前後

森下そば店

建設業との兼業という独自スタイルで18年にわたり朝ラー文化を支え続けてきた老舗。自家製麺のツルモチ食感と透明感のあるスープが評判で、地元の常連客から熱い支持を受けています。シンプルな店構えながら、毎朝丁寧に仕込まれたスープは最後まで飲み干せるすっきりとした味わい。開店前から並ぶファンが多く、藤枝の朝ラー文化の奥深さを体感できる一軒です。

住所静岡県藤枝市(詳細は藤枝朝ラー公式サイトで確認を)
営業時間早朝〜昼頃(スープがなくなり次第終了)
特徴志太系の伝統を忠実に守る自家製麺

② 溶き味噌ラーメン(清水スタイル)

ラーメン川しんの溶き味噌ラーメン
ラーメン川しんの溶き味噌ラーメン(引用元:もぐもぐしずおか

静岡市清水区発祥 / 1960年〜

溶き味噌ラーメンの歴史・由来

丼の中央にドカンと乗った、こぶし大ほどもある味噌の塊。それをスープに少しずつ溶かしながら食べる——。そんな他の地域では絶対に見かけない一杯が、静岡市清水区周辺に根付いています。

この「溶き味噌ラーメン」の元祖は、昭和35年(1960年)創業の「一元本店」です。清水区内の御門台に本店を構えるほか、暖簾分けした店舗を含めて現在は10店舗前後がこのスタイルを提供しています。

なぜ、こんな食べ方が生まれたのでしょうか。店主が語る通り、「最初から味噌を溶かしてしまうと、お客さんを待たせずに提供できる細麺と合わないから」というのが一説です。あっさりしたスープに客自身が味噌を溶き、自分好みの濃淡に仕上げながら食べる——この参加型の食体験が、地元の常連客を長年惹きつけてきました。

全国的な知名度こそまだ高くはありませんが、デイリーポータルZなどのウェブメディアやラーメン専門誌でも「超局地的ご当地ラーメン」として取り上げられており、静岡ならではの個性派グルメとして注目を集めています。

長太郎飯店の溶き味噌ラーメン
長太郎飯店の溶き味噌ラーメン(引用元:デイリーポータルZ

丼の中央にドカンと乗る味噌の塊が溶き味噌ラーメンの証

溶き味噌ラーメンの味の特徴

スープ:あっさりクリアなベーススープ

スープは鶏ガラや豚骨をベースにした、ほぼ透明に近い清湯系です。野菜炒めのほのかな香ばしさが溶け込んでいますが、味噌を加える前の状態は非常にあっさりとしており、単体でも飲めるほど軽やかです。

ここが他の味噌ラーメンとの決定的な違いです。一般的な味噌ラーメンはスープ自体が濃厚ですが、溶き味噌スタイルでは「ベーススープ×客が溶かす味噌」のダブルレイヤーで味が完成します。最初の一口はあっさり、味噌を溶かすにつれて徐々に旨みと深みが増す——その変化を楽しむのがこのラーメンの醍醐味です。

味噌:赤味噌ベースの合わせ味噌

乗せられる味噌は赤味噌をベースに白味噌を加えた合わせ味噌です。舐めてみると驚くほど奥行きのある風味があり、単なる調味料というよりは「料理」の域に達しています。全部溶かし切っても塩辛くなりすぎず、最後まで飲み干したくなるバランスに調整されているのが職人技といえるでしょう。

麺とトッピング:極細麺×シャキシャキもやし

使われる麺は、味噌ラーメンとは思えないほど細いストレート麺です。一般的なちぢれ太麺のイメージを完全に裏切るこの細麺は、客を待たせないための実用的な工夫でもあり、あっさりスープとの相性も抜群です。

トッピングは炒めたもやしとネギ、刻みチャーシューがスタンダード。もやしは炒めることで香ばしさが加わり、シャキシャキした食感がスープとの心地よいコントラストを生み出します。

自分で溶かしながら、自分だけの濃さに仕上げる楽しさが溶き味噌の真骨頂

溶き味噌ラーメン おすすめ店舗

🏆 一元本店(元祖・溶き味噌ラーメン)

1960年創業、溶き味噌ラーメンの総本山です。静岡鉄道の御門台駅から徒歩約5分、東海道新幹線の高架そばにある小さな店ながら、その名は静岡の食通の間ではよく知られています。本店のほか3店舗を展開し、暖簾分けの店舗も含めると関連店は10店舗ほどに上ります。注文しても「みそラーメン」というシンプルな名前でメニューに並んでいますが、運ばれてきた瞬間に思わず目が丸くなる——それがこの店の醍醐味です。

住所静岡県静岡市清水区(御門台駅から徒歩約5分)
価格帯800〜1,000円前後
特徴元祖の味。本店+3店舗展開

川しん

一元本店で修業ののち独立した店主が静岡市葵区の常磐公園近くに構えた一軒。カウンター中心のこぢんまりとした店内ながら、昼も夜も幅広い年代の常連客で賑わいます。一元本店より胡椒感がやや強めで、ピリリとしたスパイス感が特徴。麺も一元本店から仕入れた同じ極細ストレートを使用しており、溶き味噌ラーメンの本質はそのままに、個性もしっかり感じられる一杯です。静岡市内でこのスタイルを気軽に試したい方に最適です。

住所静岡市葵区常磐町(常磐公園近く)
価格帯850〜1,000円前後
特徴元祖の暖簾分け店、夜も営業

地元の声を聞いてみました

藤枝で生まれ育って40年近く経ちますが、朝ラーはもはや習慣です。温と冷の2杯を食べると「よし、今日も一日頑張ろう」という気持ちになります。子供たちも小さい頃から連れて行っていますよ。

(47歳・藤枝市在住の会社員)

出張で清水に来るたびに溶き味噌ラーメンを食べに行きます。「え、これが名物なの?」と最初は半信半疑でしたが、一度食べたら忘れられない。味噌を溶かすあの楽しさは他では体験できないですね。子供も喜ぶし、家族で行っても楽しい。

(41歳・東京都在住・静岡出張多め)

週末のランチに家族で藤枝まで朝ラーを食べに行くのが我が家の定番ドライブコースです。子供たちは冷やしラーメンが大好きで、ワサビを溶かして「辛い辛い!」って笑いながら食べています。こういう体験、東京ではなかなかできません。

(39歳・静岡市在住・会社員)

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よくある質問

志太系ラーメンはどこで食べられますか?
静岡県藤枝市・焼津市・島田市など、旧志太郡エリアのラーメン店で提供されています。藤枝市内だけで20軒近くの「朝ラー」提供店があり、多くが朝7〜8時台から営業を始めます。元祖の「マルナカ」(藤枝市志太3-1-24)が特に有名です。
志太系ラーメンの朝ラーとは何ですか?
藤枝市周辺では、古くからお茶の産地として早朝から仕事をする人が多く、仕事終わりの朝食としてラーメンを食べる文化が育まれました。現在も多くの店が朝7〜8時台から営業し、地元の人たちが温かいラーメンと冷やしラーメンをセットで食べる「朝ラー」文化が続いています。2019年には創業100周年を迎えた老舗もあり、藤枝市も公式で文化継承に取り組んでいます。
温と冷のセットで食べる理由は何ですか?
暑い夏でも温かいラーメンが苦手なお客さんに向けて、冷やしラーメンを提供し始めたのがきっかけです。すると、温かいラーメンを食べたお客さんが「追加で冷たいのも」と頼むようになり、いつしか「温→冷」の順番で2杯食べるスタイルが定着しました。お蕎麦に近い藤枝の冷やしラーメンは、わさびを溶かして食べると夏でも爽やかに楽しめます。
溶き味噌ラーメンはどこで食べられますか?
静岡市清水区周辺を中心に、元祖「一元本店」とその暖簾分けを含む10店舗前後で提供されています。静岡市葵区の「川しん」など、清水区以外の静岡市内でも食べられる店があります。「一元本店」は静岡鉄道・御門台駅から徒歩約5分の場所にあります。
溶き味噌ラーメンはどうやって食べるのが正解ですか?
正式な「正解」はなく、自分のペースで味噌を溶かしながら食べるのが楽しみ方です。最初は味噌を溶かさずあっさりスープだけで食べてみる、次に少しずつ溶かして変化する味わいを楽しむ、最後にすべて溶ききって濃厚な一杯にするというプロセスが醍醐味です。全部溶かしてしまっても塩辛くなりすぎないよう、スープの塩分は意図的に控えめに設定されています。
静岡の朝ラーメンは子供連れでも楽しめますか?
ほとんどの店で子供連れを歓迎しています。志太系ラーメンは油分が少なくあっさりとした味わいなので、小さなお子さんでも食べやすい一杯です。中には広い駐車場を備えた店もあるので、週末のドライブを兼ねた家族でのお出かけにも最適です。店によって席数や営業時間が異なるため、事前に確認してから行くと安心です。

まとめ:静岡の個性派ご当地ラーメン、ぜひ味わってみて

今回ご紹介した静岡のご当地ラーメンのポイントをまとめます。

  • 「志太系ラーメン」は1919年創業・マルナカ発祥。魚介のあっさり醤油スープ×細平打ち麺で、温と冷の2杯を朝食で食べる藤枝の誇るソウルフード
  • 「溶き味噌ラーメン」は1960年創業・一元本店発祥。あっさりスープに乗せた味噌を自分で溶かしながら食べる、清水区の超局地的ご当地ラーメン
  • どちらも複数の店舗で受け継がれ、地域の食文化として定着した本物のご当地グルメ
  • 週末の家族お出かけや出張の合間に、ぜひ「静岡のラーメン文化」を体験してみてください

全国に知られた有名ご当地ラーメンとは違う、素朴で温かみのある静岡の麺文化。志太系ラーメンは「朝からみんなで食べる」という共有体験が魅力で、溶き味噌ラーメンは「自分で作り上げる」参加型の楽しさが魅力です。どちらも、一度食べたら忘れられない個性を持った一杯です。

静岡を訪れる機会があれば、ぜひ藤枝の朝ラーメン文化と、清水の不思議な溶き味噌ラーメンを体験してみてください。

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