東京都は日本ラーメン文化の革新を生み出し続けてきた発祥の地であることをご存知でしょうか。荻窪で誕生した「Wスープ」、中野で生まれた「つけ麺」、武蔵野が育んだ「油そば」——これらはすべて東京から全国に広まったラーメン文化の基盤なのです。
埼玉県からも電車で30分〜1時間とアクセス抜群。同僚との週末ラーメン巡りや、家族でのお出かけにもぴったりです。この記事では、50年以上の歴史を持つ本物の東京ご当地ラーメンを徹底解説いたします。
この記事のもくじ
🍜 東京都ご当地ラーメンの概要:5つの伝統が織りなす革新の物語
東京都には5種類の正統な歴史を持つご当地ラーメンが存在します。いずれも50年以上の歴史を持ち、観光マーケティングではなく地域で自然発生的に根付いたスタイルです。特筆すべきは、これらの東京発祥のラーメンが「Wスープ」「つけ麺」「油そば」「背脂チャッチャ系」という日本のラーメン文化の基盤を形成した点にあります。
📊 東京5大ご当地ラーメン一覧
| ラーメン名 | 発祥年 | 最大の特徴 | 最低価格帯 |
|---|---|---|---|
| 環七ラーメン | 1935年 | 背脂チャッチャ系・こってり | 850円〜 |
| 荻窪ラーメン | 1947年 | Wスープ・魚介醤油 | 700円〜 |
| 武蔵野油そば | 1954年頃 | スープなし・タレと麺 | 700円〜 |
| 中野つけそば | 1955年 | つけ麺発祥 | 590円〜 |
| 八王子ラーメン | 1959年 | 刻み玉ねぎ・ラード | 450円〜 |
🏆 1. 荻窪ラーメン —— 日本ラーメン文化の礎を築いた聖地
📋 基本情報
- 発祥地:東京都杉並区荻窪
- 誕生年:1947年(昭和22年)12月
- 発祥店:丸長中華そば店(長野県出身の蕎麦職人・青木勝治氏らが創業)
- 価格帯:700円〜950円
🍜 どんなラーメン?
荻窪ラーメンは、戦後の闇市で誕生した日本ラーメン史に残る革命的な一杯です。GHQにより米や蕎麦粉が統制される中、比較的入手しやすかった小麦粉を使ってラーメン店を開業した蕎麦職人たちが、蕎麦の出汁技法をラーメンに応用しました。
荻窪が「ラーメンの聖地」と呼ばれる理由は3つございます。第一に、魚介系スープの革新。第二に、山本嘉次郎監督や伊丹十三監督など文化人による支持(映画「タンポポ」は荻窪の「佐久信」がモデル)。第三に、1987年の東洋水産によるインスタント麺発売で全国的知名度を獲得したことです。
| スープ | 鰹節・煮干しなど魚介系の和風出汁+鶏ガラ・豚骨の動物系を合わせた「Wスープ」が特徴。濃口醤油を使用した濃い色の醤油スープ |
|---|---|
| 麺 | 中細の縮れ麺。手もみで仕上げたコシのある自家製麺が多い |
| 具材 | 薄切りチャーシュー、色濃く味付けされたメンマ、海苔、ネギ。ワンタンが名物の店も |
💡 荻窪ラーメンの最大の功績
当時主流だった鶏ガラベースのスープに豚骨+魚介(鰹節・サバ節)を組み合わせる「Wスープ」技法を確立したことです。さらに、丸長の創業者が賄いとして考案した「ざるそば感覚で麺をつけて食べる」スタイルが、後のつけ麺の原型となりました。
🏪 代表的な店舗
- 📍 住所:杉並区上荻1-4-6
- 📅 創業年:1949年
- 💰 価格帯:950円〜
- ✨ 特徴:荻窪ラーメンの代名詞。煮干し・野菜・豚ガラ・鶏ガラの醤油スープ。創業以来継ぎ足した秘伝の醤油ダレ。現在三代目が継承
- 📍 住所:杉並区上荻1-24-22
- 📅 創業年:1950年
- 💰 価格帯:750円〜
- ✨ 特徴:丸長のれん会最古参。鰹節・サバ節が香る和風出汁に豚骨の下支え。作家・椎名誠氏が愛した店
- 📍 住所:杉並区上荻1-4-10
- 📅 創業年:1966年
- 💰 価格帯:700円〜
- ✨ 特徴:夜間営業のみ(18時〜深夜1時半)。3日間寝かせた熟成手揉み縮れ麺。荻窪の「締めラー」として愛されております
🏆 2. 八王子ラーメン —— 刻み玉ねぎが生んだ多摩のソウルフード
📋 基本情報
- 発祥地:東京都八王子市子安町
- 誕生年:1959年(昭和34年)
- 発祥店:初富士(はつふじ)
- 価格帯:450円〜700円
🍜 どんなラーメン?
八王子ラーメンは、創業者が北海道旅行中に出会った「刻み玉ねぎ入りラーメン」がきっかけで誕生いたしました。北海道のものは玉ねぎの辛味が残っていましたが、試行錯誤の末、ラード(油)が玉ねぎの辛味を抑え、甘味を引き立てることを発見し、現在のスタイルが完成しました。
「八王子ラーメン」という名称が定着したのは比較的最近で、2003年に八王子市役所職員の立川ひろゆき氏が命名されました。同年、「八麺会」が発足し、定義の明確化と普及活動が始まりました。
🔖 八王子ラーメンの定義(八麺会による3大条件)
- 醤油ベースのタレ(かえし)
- スープ表面をラード(油)が覆っている
- 生の刻み玉ねぎがトッピングされている
| スープ | 豚骨・鶏ガラベースの透き通った清湯系醤油スープ。透明なラードが表面を覆い冷めにくい。玉ねぎの甘味が染み込み、見た目よりあっさり |
|---|---|
| 麺 | 中細のストレート麺。やや低加水でパツパツとした食感 |
| 具材 | 刻み玉ねぎ(最大の特徴)、チャーシュー、メンマ、海苔、ナルト |
🏪 代表的な店舗
- 📍 住所:八王子市中野上町4-17-4
- 📅 創業年:1959年
- 💰 価格帯:500円〜(驚異的な低価格!)
- ✨ 特徴:八王子ラーメン発祥の店。魚介ベースのあっさり深みある醤油スープ。2代目が先代の味を継承されています
- 📍 住所:八王子市子安町1-30-6
- 📅 創業年:1978年
- 💰 価格帯:500円〜
- ✨ 特徴:女性のみの親子三代で経営。平日昼のみ営業で行列必至。チャーシューメンは昼前に売り切れることも
- 📍 住所:八王子市楢原町437-1
- 📅 創業年:1982年
- 💰 価格帯:450円〜
- ✨ 特徴:カップ麺にもなった八王子ラーメンの代表格。タンタン女将の息子さんが経営。季節で玉ねぎの刻み方を変えるこだわり
🏆 3. 環七ラーメン —— 背脂チャッチャ系の発祥地
📋 基本情報
- 発祥地:東京都(環状7号線沿い)
- 誕生年:1935年(昭和10年)※ホープ軒本舗のルーツ
- 発祥店:貧乏軒(後のホープ軒本舗)
- 価格帯:850円〜900円
🍜 どんなラーメン?
環七ラーメン(背脂チャッチャ系)は、「ホープ軒本舗」創業者・難波二三夫氏が錦糸堀で「貧乏軒」として始めた屋台がルーツです。1962年頃に牛久保英昭氏が背脂を入れる現在のスープ形式を完成させました。
1980年代後半〜1990年代には「環七ラーメン戦争」が勃発し、環状7号線沿いに100軒以上のラーメン店がひしめく激戦区となりました。「背脂チャッチャ系」という名称は、スープ表面に固形の豚の背脂を「チャッチャッ」と振りかける動作に由来しております。
| スープ | 豚骨ベースの茶濁したスープに醤油タレ。こってり濃厚 |
|---|---|
| 背脂 | スープ表面に固形の豚の背脂を振りかける。脂の甘味とコクを加えます |
| 麺 | 中太の縮れ麺または太麺 |
| 具材 | チャーシュー、もやし、刻みネギ |
🏪 代表的な店舗
- 📍 住所:渋谷区千駄ヶ谷2-21-1
- 📅 創業年:1975年(屋台は1960年)
- 💰 価格帯:900円〜
- ✨ 特徴:24時間営業の元祖背脂チャッチャ系。深夜でも行列ができる名店です
- 📍 住所:武蔵野市吉祥寺本町1-14-12
- 📅 創業年:1935年
- 💰 価格帯:850円〜
- ✨ 特徴:背脂豚骨醤油ラーメンの始祖。創業90年の歴史を誇る老舗
- 📍 住所:中野区野方4-1-4
- 📅 創業年:1988年
- 💰 価格帯:900円〜
- ✨ 特徴:1994年に新横浜ラーメン博物館に出店。全国に多店舗展開
🏆 4. 武蔵野油そば —— スープなしラーメンの元祖
📋 基本情報
- 発祥地:東京都武蔵野市(武蔵境)・国立市
- 誕生年:1954〜1958年頃
- 発祥店:珍々亭(武蔵境)・三幸(国立)※諸説あり
- 価格帯:700円〜800円
🍜 どんなラーメン?
武蔵野油そばは、「珍々亭」初代が本郷の中華料理店で出会った中国の「拌麺(ばんめん)」から着想を得て考案されました。スープなしで麺とタレだけで食べるという革新的なスタイルが誕生したのです。
武蔵境・国立エリアには亜細亜大学、一橋大学など大学が多く、安くてボリュームのある油そばは学生に絶大な支持を得ました。現在では全国に広まり、ラーメンの一ジャンルとして確立しております。
| 麺 | 中太のもちもちした麺。スープなしで釜揚げ状態 |
|---|---|
| タレ | 醤油タレ+ラード(チャーシュー煮汁使用)。麺の底に溜まっている |
| 具材 | チャーシュー、メンマ、なると |
| 食べ方 | よくかき混ぜてから食べる。酢・ラー油で味変するのが定番 |
🏪 代表的な店舗
- 📍 住所:武蔵野市境5-17-21
- 📅 創業年:1954年頃
- 💰 価格帯:800円〜
- ✨ 特徴:油そば発祥の店。亜細亜大学の学生が行列を作る名店です
- 📍 住所:国立市東1-17-9
- 📅 創業年:1952年
- 💰 価格帯:700円〜
- ✨ 特徴:発祥店の一つとされる老舗。一橋大学の学生に長年愛されております
🏆 5. 中野つけそば —— つけ麺発祥の地
📋 基本情報
- 発祥地:東京都中野区
- 誕生年:1955年(昭和30年)頃
- 発祥店:中野大勝軒
- 考案者:山岸一雄氏(「つけ麺の神様」)
- 価格帯:590円〜900円
🍜 どんなラーメン?
中野つけそばは、1951年に荻窪「丸長」から暖簾分けを受けて創業した「中野大勝軒」で誕生しました。店長の山岸一雄氏が、賄いで食べていた「茹でた残り麺をタレにつけて食べる」スタイルを「特製もりそば」として商品化。これが現在のつけ麺の発祥でございます。
山岸氏は1961年に独立して「東池袋大勝軒」を創業し、つけ麺を全国に広めました。「つけ麺」という名称自体は1973年頃に「つけ麺大王」が使用し始めたもので、元々は「もりそば」と呼ばれておりました。
| 麺 | 太ストレート麺。やや柔らかめでもっちりした食感 |
|---|---|
| つけ汁 | 鶏ガラ・豚骨・魚介系素材を煮出した醤油ベース。すっきり澄んだスープ |
| 具材 | チャーシュー、メンマ、半熟卵、刻みネギ |
🏪 代表的な店舗
- 📍 住所:中野区中野3-33-13
- 📅 創業年:1951年
- 💰 価格帯:590円〜(驚異的な低価格を維持!)
- ✨ 特徴:つけ麺発祥の店。創業70年以上の老舗。2011年にはファミリーマートとコラボ商品を発売
📚 東京都ラーメンの歴史・背景
🏛️ ラーメン革新の系譜:東京が生んだ4大発明
東京は単なるラーメン店の集積地ではなく、日本のラーメン文化の革新を生み出し続けてきた発祥の地です。以下の4つの革新は、すべて東京から全国に広まりました。
| 革新 | 発祥地 | 発祥年 | 影響 |
|---|---|---|---|
| Wスープ | 荻窪 | 1947年〜 | 魚介×動物系の融合が全国標準に |
| つけ麺 | 中野 | 1955年〜 | 現在では全国にチェーン展開 |
| 油そば | 武蔵野 | 1954年〜 | スープなし麺という新ジャンル確立 |
| 背脂チャッチャ系 | 環七沿い | 1962年〜 | こってり系ラーメンの基盤形成 |
🎯 おすすめポイント
東京都のご当地ラーメンは、埼玉県からのアクセスが抜群です。特に八王子ラーメンは450円〜という驚異的なコスパで、家族5人で食べても3,000円以下。同僚との週末ドライブで「発祥の店巡り」をすれば、翌週の職場の話題にも事欠きません。
「この前、つけ麺発祥の店に行ってきたんですよ」——そんな会話のきっかけに、東京ご当地ラーメン巡りはいかがでしょうか?
📊 東京ご当地ラーメン総括
| ラーメン名 | 発祥年 | 歴史 | 代表的特徴 | 最低価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| 環七ラーメン | 1935年 | 約90年 | 背脂チャッチャ系・こってり | 850円〜 |
| 荻窪ラーメン | 1947年 | 約78年 | Wスープ・魚介醤油 | 700円〜 |
| 武蔵野油そば | 1954年頃 | 約71年 | スープなし・タレと麺 | 700円〜 |
| 中野つけそば | 1955年 | 約70年 | つけ麺発祥 | 590円〜 |
| 八王子ラーメン | 1959年 | 約66年 | 刻み玉ねぎ・ラード | 450円〜 |
5種類すべてがB級グルメ大会での受賞歴はございませんが、これは団体組織の有無やイベント形式との相性によるものです。いずれも観光目的で作られたものではなく、地域で自然発生的に定着した正統なご当地ラーメンでございます。



