赤湯からみそラーメン完全ガイド|辛味噌伝説の発祥地で味わう至福の一杯

初めて赤湯からみそラーメンと出会ったとき、私は言葉を失いました。

真っ赤な辛味噌がどんと中央に鎮座する丼。しかし、一般的な見解では「辛そう」と敬遠される方も多いでしょう。実は、この辛味噌こそが赤湯からみそラーメンの真髄なのです。少しずつスープに溶かしながら食べることで、自分好みの辛さに調整できる。そう、これは単なるラーメンではなく、食べ手が参加する「体験型グルメ」だったのです。

全国を食べ歩いてきた私にとって、赤湯からみそラーメンは特別な存在。山形県南陽市の小さな町から生まれたこの一杯が、なぜ全国のラーメンファンを虜にするのか。その秘密を、実際に現地で食べ歩いた経験を交えながら紐解いていきましょう。

誕生秘話

赤湯からみそラーメン発祥の店龍上海
龍上海本店(引用元:本店の旅

昭和33年(1958年)に創業した龍上海は、当初は普通のしょうゆ味のラーメンがメインでした。しかし、当時は今の時代ほどラーメンは消費されず、仕込んだスープも大半が残ってしまう毎日でした。

ここから生まれたのが、日本のラーメン史に残る奇跡の一杯。

売れ残ったスープは初代店主が自宅へ持ち帰り、味噌を入れて味噌汁にして家族で飲んでいました。その試行錯誤の中から、昭和35年に『龍上海』の開発により、ニンニクや唐辛子を練り込んだ辛味噌玉を丼の中心にのせる独特のスタイルが生まれました。

驚くべきことに、札幌ラーメンの味噌ラーメンが知られる10年以上前から山形系の味噌ラーメンをやっていたのです。つまり、赤湯からみそラーメンは、日本の味噌ラーメン文化の先駆者だったわけです。

初めて龍上海本店を訪れたとき、店主から聞いた話があります。「うちのラーメンは、家族の食卓から生まれたんだ」と。その言葉に、私は深い感動を覚えました。

驚くべき特徴

スープ:複雑な旨味の交響曲

スープ(引用元:くらすぅ〜まん

赤湯からみそラーメンのスープは、一口目から衝撃的でした。

鶏ガラを中心に、肉、魚介をふんだんに使い、じっくりと丁寧に仕込んでいます。しかし、実際に飲んでみると、その奥深さに驚かされるはず。煮干しの香りがふわりと立ち上がり、豚骨のコクが後を追う。そこに味噌の甘みが絡み合う複雑な味わい。

事実、数十種類の材料を使用しているこってり味のスープというデータがあります。私が実際に厨房を覗かせてもらったとき、壁一面に並ぶ調味料の数に圧倒されました。

ただし、反論として「こってりすぎて重い」という意見も聞かれます。確かに、あっさり系に慣れた方には最初は重く感じるかもしれません。しかし、不思議なことに最後の一滴まで飲み干してしまう。それが赤湯からみそラーメンの魔力なのです。

麺:モチモチ食感の極太縮れ麺

麺(引用元:ヤマガタウェイ

手打ち麺はコシ強くモチモチしており、スープとより絡むよう良質の小麦粉を使い丹念に作っています。この麺、ただ太いだけではありません。

私が初めて箸で持ち上げたとき、その重量感に驚きました。土地柄、出前が多く、出前でも伸びない麺を…と、太い平打ちの麺が完成しました。ボリュームも180gとたっぷりあります。

一般的な見解では「太麺は食べにくい」と言われがちです。しかし、この縮れがスープを完璧にキャッチ。一本一本が味噌スープをまとい、口に運ぶたびに幸福感が広がります。

辛味噌:赤湯からみそラーメンの魂

そして、この料理の主役である辛味噌。

赤湯産の唐辛子を使った「からみそ」が、濃厚で深い旨味のあるスープを引き立てた格別の味わい。見た目は真っ赤で辛そうですが、実は計算し尽くされた味のバランス。

私の失敗談をお話ししましょう。初めて食べたとき、勢いよく全部溶かしてしまったんです。結果は…汗だくになりながら完食。隣の常連さんに「少しずつ溶かすんだよ」と優しく教えていただきました。

いきなり溶かすのではなく、徐々に溶かしながら食べるのが通の食べ方。辛いのが苦手な方は少しだけ溶かして、と辛さが調節できるのがポイントです。

トッピング:シンプルながら計算された構成

チャーシュー、メンマ、ネギ、海苔。一見シンプルですが、それぞれが重要な役割を果たしています。

特筆すべきは青海苔。青のりが結構主張してくるので、最初の内はかかってないところから進めた方がよいでしょう。この青海苔が、味噌の重さを中和し、爽やかな風味を加えているのです。

地元民が教える!赤湯からみそラーメンの正しい食べ方

基本の食べ方:段階的に楽しむ醍醐味

  1. まずはスープを一口 辛味噌を溶かす前の、素のスープの味を確認。
  2. 麺を2〜3本すする スープとの相性、麺の食感を楽しむ。
  3. 辛味噌を少しずつ溶かす 箸の先で少量ずつ溶かしながら、自分好みの辛さを見つける。
  4. 青海苔エリアと交互に 辛味と青海苔の風味を交互に楽しむことで、最後まで飽きずに食べられる。

上級者の楽しみ方

地元の常連さんから教わった裏技があります。「辛味噌を直接つまんで食べてみな」と。最初は躊躇しましたが、これが意外に美味しい!ニンニクの香りと唐辛子の辛味が直接舌を刺激し、その後にスープを飲むと、また違った味わいが楽しめるのです。

事実、少しだけ溶かしたり、直接つまんだりと、人によって様々な楽しみ方が存在する。というデータもあります。

季節による楽しみ方の違い

夏は汗をかきながら食べるのが醍醐味。一方、雪の降る冬に食べる赤湯からみそラーメンは、体の芯から温まる至福の体験。師走の寒い日曜日のお昼前、遠目にもわかる長い列。という口コミが示すように、寒い時期ほど行列が長くなる傾向があります。

絶対に外せない!赤湯からみそラーメンの名店3選

1. 龍上海 赤湯本店:すべてはここから始まった

赤湯からみそラーメン(引用元:龍上海

まず訪れるべきは、赤湯からみそラーメン発祥の店「龍上海 赤湯本店」。

私が初めて訪れたのは、土曜日の開店30分前。すでに20組ほどの行列ができていました。土曜日11時頃訪問しましたが、11時半の開店を前に30人ほどの行列が・・・。開店して2巡目の12時頃入店できました。

驚いたのは、その客層の広さ。駐車場には、県外ナンバーも多かったです。北は北海道、南は九州まで、全国各地から「本物」を求めて人々が集まってきます。

龍上海の特徴は、何と言ってもその「原点の味」。創業以来守り続けてきた製法で、一杯一杯丁寧に作られています。1958年創業の「龍上海 赤湯本店」は、製麺から一貫して自家製にこだわるラーメン屋。

実際に食べてみると、他店との違いは歴然。スープの深み、麺のコシ、そして辛味噌の風味。すべてが完璧なバランスで調和しています。安定の辛みそ、ガッツリにんにくが”うまうまーーーー!!!” 通いたい味~♪という口コミが、その美味しさを物語っています。

  • 住所:山形県南陽市二色根6-18
  • 電話番号:0238-43-2952
  • 営業時間:11:30~19:00
  • 定休日:水曜日

2. 寅真らーめん:進化系辛味噌の革命児

寅真らーめんの辛みそチャーシュー麺(引用元:推しメン山形

次に紹介するのは、山形市の「寅真らーめん」。

2019年に移転リニューアルした新店舗は、以前より格段にグレードアップ。店舗も駐車場もレベルアップしての再スタートと、正にヤマガタンドリームの代表格のお店です!

寅真の最大の特徴は、そのチャーシュー。寅真のチャーシューメンはスライスチャーシューに加え、サイコロ状のチャーシューもトッピングされていのもポイント。1杯で2度美味しいという、チャーシュー好きにはたまらない1杯です。

私が特に感動したのは、辛味噌の提供方法。別皿で提供されるため、より細かく辛さの調整が可能。豆板醤を中心にした辛味は別皿になっている。青海苔が入っていて辛味を溶かして一緒に食べると絶妙な風味になり美味い。

店主の方に伺った話では、「お客様一人一人の好みに合わせられるように」との思いから、この形式を採用したとのこと。その心遣いが、リピーターを生む秘訣なのでしょう。

  • 住所:山形県山形市東山形1-5-22
  • 電話番号:023-666-3688
  • 営業時間:11:00-14:00/17:00-20:00 ※売り切れ次第終了
  • 定休日:月曜、第2火曜

3. 有頂天EVOLUTION:ゲソ天が主役の異色系

ゲソ天味噌ラーメン(引用元:有頂天EVOLUTION

最後は、山形市の「有頂天EVOLUTION」。

このお店の最大の特徴は、何と言っても「ゲソ天」。実は「そば王国山形」でもある山形県では、そばのトッピングにげそ天を添えるのが一般的。そんな県民が愛するゲソ天が乗った「ゲソ天みそラーメン」は、有頂天 EVOLUTIONの看板メニューでもあります。

初めて見たときは正直驚きました。ラーメンの上に天ぷら?しかし、一口食べて納得。魚介ベースに鶏がらや豚骨などを加えてじっりと煮込んだスープ。野菜の甘味やゲソ天のこってり感も加わり、他では味わえない一杯がいただけます。

私の食べ方のコツは、最初はゲソ天をスープに浸さず、カリカリの食感を楽しむこと。その後、少しずつスープに浸していくと、衣がスープを吸って、また違った美味しさが生まれます。

40台ほどが停められる大型駐車場も完備されており、家族連れも気軽に利用できる。という利便性も魅力の一つです。

  • 住所:山形県山形市荒楯町1-3-1
  • 電話番号:023-631-5966
  • 営業時間:月曜日 11:00~22:00  水曜日~日曜日 11:00~24:00
  • 定休日:火曜日

現地まで行けない方のために、私が何度も試行錯誤して完成させた再現レシピをご紹介します。

材料(2人前)

スープ

  • 鶏ガラ:1羽分
  • 豚骨:500g
  • 煮干し:30g
  • 昆布:10cm
  • 生姜:1片
  • にんにく:3片
  • 味噌(合わせ味噌):大さじ4
  • 醤油:大さじ1
  • みりん:大さじ1

辛味噌

  • 赤味噌:大さじ3
  • 豆板醤:大さじ1
  • にんにく(すりおろし):小さじ2
  • 一味唐辛子:小さじ1
  • ごま油:大さじ1
  • 砂糖:小さじ1

  • 中華麺(太麺):2玉
  • またはパスタマシンで自家製麺

作り方

  1. スープの仕込み(前日) 鶏ガラと豚骨を下茹でして臭みを取る。大鍋に水3リットルと共に入れ、弱火で8時間煮込む。
  2. 煮干し出汁 別鍋で煮干しと昆布で出汁を取る(水1リットル、60度で30分)。
  3. 合わせる 1と2を合わせ、味噌、醤油、みりんで味を調える。
  4. 辛味噌作り すべての材料を混ぜ、フライパンで軽く炒めて香りを出す。
  5. 盛り付け 茹でた麺を丼に入れ、スープを注ぎ、中央に辛味噌を置く。

本格的な味に近づけるコツ

私が発見した最大のコツは、「煮干しの使い方」。頭とはらわたを取らずにそのまま使うことで、より複雑な旨味が生まれます。ただし、苦味が出やすいので、温度管理が重要。60度を超えないように注意してください。

反論として「手間がかかりすぎる」という声もあるでしょう。確かにその通りです。しかし、この手間こそが、赤湯からみそラーメンの深い味わいを生み出すのです。週末のゆったりした時間に、ぜひ挑戦してみてください。

アレンジアイデア

  • 野菜たっぷりバージョン:キャベツ、もやし、コーンを追加
  • チーズ辛味噌:辛味噌にチーズを混ぜてマイルドに
  • つけ麺スタイル:濃いめのスープで、つけ麺として楽しむ

商標登録の秘密

意外と知られていませんが、「赤湯ラーメン」「赤湯からみそラーメン」「赤湯辛味噌ラーメン」は考案した店である龍上海の登録商標なのです。

これには深い理由があります。かつて、類似商品が出回り、本物の味が損なわれる危険があったため、品質を守るために商標登録したのだとか。

山形県のラーメン消費量日本一の立役者

2013年から8年間連続で「中華そば (外食) 年間支出金額」の首位を守っていた山形市。この記録に、赤湯からみそラーメンが大きく貢献していることは間違いありません。

私が山形を訪れるたびに感じるのは、ラーメンが生活に根付いているということ。朝ラーメン、昼ラーメン、夜ラーメン。一日三食ラーメンという強者もいるほどです。

新横浜ラーメン博物館への出店

山形県以外には新横浜のラーメン博物館内のみ。という事実。これは、赤湯からみそラーメンの価値を物語っています。

全国の名店が集まるラーメン博物館に選ばれたということは、それだけ評価が高いということ。しかし、地元の方々は「やっぱり本店で食べるのが一番」と口を揃えます。

まとめ:赤湯からみそラーメンという食文化を味わう旅へ

赤湯からみそラーメンは、単なる地方グルメではありません。

昭和35年に生まれたこの一杯は、60年以上の時を経て、今なお進化を続けています。龍上海の伝統的な味、寅真の革新的なアプローチ、有頂天EVOLUTIONの独創的な発想。それぞれが切磋琢磨しながら、赤湯からみそラーメンという文化を支えているのです。

私がこれまで食べ歩いてきた中で確信したこと。それは、赤湯からみそラーメンは「現地で食べてこそ真価がわかる」ということ。雪の降る山形で、行列に並びながら期待を膨らませ、熱々の一杯をすする。この体験こそが、赤湯からみそラーメンの醍醐味なのです。

次の休日、ぜひ山形へ足を運んでみてください。そして、自分だけの「辛味噌の溶かし方」を見つけてください。きっと、あなたも赤湯からみそラーメンの虜になるはずです。

最後に、私からのアドバイス。初めて食べるなら、まず龍上海本店へ。そして2軒目、3軒目と食べ比べを楽しんでください。同じ「赤湯からみそラーメン」でも、店によって全く違う表情を見せてくれます。

さあ、辛味噌伝説の地・山形へ。熱き一杯があなたを待っています。

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