山形県は四季の変化に富んだ自然環境と豊かな食文化で知られ、特にラーメンの分野では地域ごとに特色ある独自のご当地グルメが存在します。日本海の海の幸、内陸の山の幸、そして厳しい寒さと暑い夏という気候条件を活かした多彩なラーメン文化は、県民はもちろん多くの観光客にも愛され続けています。
この記事では、山形県を代表する4つの山形ご当地ラーメンをご紹介し、それぞれの魅力と特徴を詳しく解説します。
この記事のもくじ
山形ご当地ラーメンガイド目次
- 米沢ラーメン – 置賜地方が誇る細縮れ麺の醤油ラーメン
- 酒田ラーメン – 庄内の港町で愛される煮干し醤油ラーメン
- 冷やしラーメン – 山形発祥の夏の風物詩
- 赤湯からみそラーメン – 温泉地で生まれた辛味噌の名物ラーメン
米沢ラーメン

米沢ラーメンは、山形県南部の置賜地方を代表する米沢市のご当地ラーメンとして長年愛され続けています。昭和初期から続く歴史ある味で、地元の人々にとっては日常の食事として欠かせない存在となっています。シンプルながら奥深い味わいが特徴で、多くのラーメン愛好家を魅了し続けています。
繊細な細縮れ麺とあっさりスープ
米沢ラーメンの最大の特徴は、細い縮れ麺とあっさりとした醤油ベースのスープにあります。麺は手もみによって作られる細縮れ麺で、独特の食感とスープとの絡みの良さが自慢です。スープは鶏ガラと豚骨をベースにした透明な醤油味で、脂っこさを抑えたあっさりとした仕上がりながら、深いコクと旨味を感じることができます。
シンプルで上品なトッピング
具材にはチャーシュー、メンマ、ネギ、海苔などの定番トッピングが使用され、素材の味を活かしたシンプルな構成が特徴です。チャーシューは薄切りで上品な味付けが施され、スープの味を邪魔することなく調和しています。全体的に控えめながら計算された味のバランスが、米沢ラーメンの洗練された魅力を表現しています。
酒田ラーメン

酒田ラーメンは、日本海に面した港町・酒田市で生まれ育ったご当地ラーメンです。漁港を抱える庄内地方ならではの海産物を活かし、特に煮干しを効かせた醤油スープが特徴的です。昭和30年代頃から地元で愛され続け、現在では庄内地方を代表するソウルフードとして親しまれています。
煮干しが効いた香り豊かなスープ
酒田ラーメンの心臓部である スープは、煮干しをベースとした醤油味が基本となっています。日本海で獲れる良質な煮干しを贅沢に使用し、魚介の旨味が凝縮された深い味わいを作り出しています。あっさりとしていながらも煮干しの香りとコクがしっかりと感じられ、飽きのこない優しい味わいが特徴です。
港町らしい具材の魅力
トッピングには庄内地方の特産品が使用されることが多く、地元で水揚げされる新鮮な魚介類や山菜などが季節に応じて加えられます。基本的な具材としてはチャーシュー、メンマ、ネギ、海苔が使用され、煮干しスープとの相性を考慮した味付けが施されています。麺は中太のストレート麺が主流で、煮干しの旨味をしっかりと受け止める食感に仕上げられています。
冷やしラーメン

冷やしラーメンは、山形市が発祥の地とされる夏の名物ラーメンです。1952年に山形市内の中華料理店「栄屋本店」で考案されたのが始まりとされ、現在では山形県全域、さらには全国に広がった夏の風物詩として親しまれています。暑い夏を涼しく乗り切るための知恵から生まれた、山形ならではの独創的なラーメンです。
冷たいスープと温かい麺の絶妙なバランス
冷やしラーメンの最大の特徴は、茹でたての温かい麺を冷たいスープに入れて食べるという独特のスタイルにあります。スープは醤油ベースの冷たい透明なもので、さっぱりとした味わいが夏の暑さを忘れさせてくれます。温かい麺と冷たいスープのコントラストが絶妙で、他では味わえない独特の食感と温度感を楽しむことができます。
夏野菜たっぷりのヘルシートッピング
具材には夏野菜がたっぷりと使用され、きゅうり、トマト、レタス、もやしなどの新鮮な野菜が彩りよく盛り付けられます。これらの野菜は冷たいスープとの相性が良く、シャキシャキとした食感が全体の爽やかさを演出しています。チャーシューやゆで卵なども加えられ、栄養バランスも考慮された健康的な一品として人気を集めています。
赤湯からみそラーメン

赤湯からみそラーメンは、南陽市の赤湯温泉地区で生まれたご当地ラーメンです。1960年代に中華料理店「龍上海」で考案されたのが始まりとされ、味噌ラーメンに特製の辛味噌を加えた独特の味わいが特徴です。温泉地ならではの体を温める料理として発展し、現在では山形県を代表するご当地グルメの一つとして全国的にも知られています。
辛味噌が決め手の濃厚スープ
赤湯からみそラーメンの核となるのは、特製の辛味噌「からみそ」です。この辛味噌は唐辛子と味噌を独自の配合でブレンドしたもので、ピリッとした辛さの中にも深いコクと甘味が感じられます。ベースとなる味噌スープに辛味噌を溶かし込むことで、層の深い複雑な味わいを作り出しています。辛さは調整可能で、好みに応じて辛味噌の量を変えることができます。
ボリューム満点の具材と食べ応え
トッピングには厚切りのチャーシュー、もやし、ネギ、メンマなどがたっぷりと盛られ、食べ応え十分のボリュームが特徴です。特にもやしは大量に使用され、辛味噌の辛さを和らげる役割も果たしています。麺は中太の縮れ麺が使用され、辛味噌スープとの絡みが良く、最後まで飽きることなく味わうことができます。寒い冬には特に人気が高く、体の芯から温まる一杯として愛され続けています。
山形県のご当地ラーメンは、それぞれが地域の気候や食文化、歴史を反映した独特の魅力を持っています。四季の変化が豊かな山形県だからこそ生まれた多様なラーメン文化を、ぜひ現地で味わってみてください。